医療従事者の職業倫理

医の倫理綱領

医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。

  1. 医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩・発展に尽くす。
  2. 医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。
  3. 医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明し、信頼を得るように努める。
  4. 医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。
  5. 医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。
  6. 医師は医業にあたって営利を目的としない。

 

 

患者の権利に関する宣言

看護者の倫理綱領

前文
 人々は、人間としての尊厳を維持し、健康で幸福であることを願っている。看護は、このような人間の普遍的なニーズに応え、人々の健康な生活の実現に貢献することを使命としている。
  看護は、あらゆる年代の個人、家族、集団、地域社会を対象とし、健康の保持増進、疾病の予防、健康の回復、苦痛の緩和を行い、生涯を通してその最期まで、その人らしく生を全うできるように援助を行うことを目的としている。
  看護者は、看護職の免許によって看護を実践する権限を与えられた者であり、その社会的な責務を果たすため、看護の実践にあたっては、人々の生きる権利、尊厳を保つ権利、敬意のこもった看護を受ける権利、平等な看護を受ける権利などの人権を尊重することが求められる。
  日本看護協会の『看護者の倫理綱領』は、病院、地域、学校、教育・研究機関、行政機関など、あらゆる場で実践を行う看護者を対象とした行動指針であり、自己の実践を振り返る際の基盤を提供するものである。また、看護の実践について専門職として引き受ける責任の範囲を、社会に対して明示するものである。

 

条文

  1. 看護者は、人間の生命、人間としての尊厳及び権利を尊重する。
  2. 看護者は、国籍、人種・民族、宗教、信条、年齢、性別及び性的指向、社会的地位、経済的状態、ライフスタイル、健康問題の性質にかかわらず、対象となる人々に平等に看護を提供する。
  3. 看護者は、対象となる人々との間に信頼関係を築き、その信頼関係に基づいて看護を提供する。
  4. 看護者は、人々の知る権利及び自己決定の権利を尊重し、その権利を擁護する。
  5. 看護者は、守秘義務を遵守し、個人情報の保護に努めるとともに、これを他者と共有する場合は適切な判断のもとに行う。
  6. 看護者は、対象となる人々への看護が阻害されているときや危険にさらされているときは、人々を保護し安全を確保する。
  7. 看護者は、自己の責任と能力を的確に認識し、実施した看護について個人としての責任をもつ。
  8. 看護者は、常に、個人の責任として継続学習による能力の維持・開発に努める。
  9. 看護者は、他の看護者及び保健医療福祉関係者とともに協働して看護を提供する。
  10. 看護者は、より質の高い看護を行うために、看護実践、看護管理、看護教育、看護研究の望ましい基準を設定し、実施する。
  11. 看護者は、研究や実践を通して、専門的知識・技術の創造と開発に努め、看護学の発展に寄与する。
  12. 看護者は、より質の高い看護を行うために、看護者自身の心身の健康の保持増進に努める。
  13. 看護者は、社会の人々の信頼を得るように、個人としての品行を常に高く維持する。
  14. 看護者は、人々がよりよい健康を獲得していくために、環境の問題について社会と責任を共有する。
  15. 看護者は、専門職組織を通じて、看護の質を高めるための制度の確立に参画し、よりよい社会づくりに貢献する。

2003年 日本看護協会

 

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